Monday, December 8, 2008

Room Mate goes back Hong Kong

昨日の深夜、自習室でブログを書き終え、帰り支度をしていたときのこと。ルームメイトのJ君から電話が。かなり遅い時間だったので、何かなと思って出てみた、
I'll leave Syracuse. I'm not coming back.
と、彼。一瞬、聞き間違えたかと思いましたが、確かに"I'm not coming back"と言ってたし、そもそも、来週から冬休みの帰省をするという話は前から聞いていたので、それだけだったら敢えて電話してくる必要もありません。「勉強してると思ったから邪魔しちゃいけないと思ったんだけど、今後のこともあるから少しでも早く伝えたくて」とJ君。

帰ってゆっくり話を聞いてみたところ、だいたい、こんな感じの話でした;
両親が経営している会社の子会社の社長をしていたおじさんがこの秋に亡くなり(その話は僕も聞いてました)、おばさん(=亡くなったおじさんの奥さん)が社長職を継いだが、過去の不正か何かが見つかり、職を離れることになった。本当なら、ご両親が子会社の面倒も見れれば一番いいのだが、不況のさなかで、とてもそれどころじゃない。医者をしている別のおじさんに話を持ちかけてはみたものの、彼は、ビジネスに全く興味も関心もなく、断念。結局、ご両親は、一人息子(※ 姉と妹はいるそうですが)であるJ君を、子会社の社長に充てることを決め、昨日、その打診をした…
彼は、“香港流”のビジネスのやり方(彼曰く、社長と言えばパーティに出るのが仕事、みたいな風潮がいまだ根強いとのこと)が嫌いで、香港政庁の公務員になることを夢見ていました。この秋、おじさんが亡くなった時には、「早く帰ってこい。あわよくば家業を継げ」といったofferがご実家からあったみたいでしたが、それでも自分は公務員になりたいんだと、その時、僕に語ってくれてました。

「香港流のビジネスが嫌い→公務員」という彼の思考回路は、単純と言えば単純ですが、でも彼は彼なりに、夢である公務員に向けて、8歳年上の僕から見ても眼をみはるばかりの努力を続けていました。(ちなみに香港政庁の公務員になるのは、某島国の国家公務員なんて比べ物にならないくらいcompetitiveだそうです。)ついこの間も、プレゼンの練習に付き合ってくれと言われ、彼のプレゼンを聞いたんですが、とてもじゃないけど、僕が大学3年生のときには作れなかったな、といったレベルの高い内容のプレゼンをまとめていました。それだけに、今回、家業を継ぐという決断をした(せざるを得なかったのかもしれませんが)彼を見ていると、なんだか切ない気分がします。

ただ、彼自身は、既に腹を固めた様子でした。もちろん、不安もあるでしょうし、学位に未練もあるでしょうし、それに何より、いま付き合っている彼女と離れ離れになることは、22歳の彼にとっては本当にきついことだと思います。が、昨日の夜の彼は、これまでになくすがすがしい表情をしていました。ある意味、僕なんかのまだ経験したことのない、人生の大きなチャレンジに、彼は向かいつつあるんだな…と、そんな気がしました。

彼とルームシェアをしてきたこの5ヶ月間は、(たまにこのブログでも冗談半分に漏らしてましたが、)決して、円満なことばかりではありませんでした。基本的にモノを散らかしっぱなしだったり、料理を必要以上に作って食べきれずにそのまま放置したり、ヒーターをアホみたいに高い温度に設定してそのまま一日外出してたりする彼には、何度も小言を言ってきました。その上、事あるごとに、シラキュースでの生活は「horribleだ」、「boringだ」と愚痴をこぼす彼の姿勢には、ときどき、本当にイライラししまい、何度か、きつい言葉も吐いてしまいました。

もともと21歳と29歳が一緒に住むこと自体、かなり無理があったということなのかもしれませんし、見方を変えれば、ルームメイトの関係なんてどこともだいたいこんなもんだ、ということもできるのかもしれません。別に恒常的にケンカをしてたわけでもないし、まぁまぁの関係だったと言えなくもないでしょう…。

ただ、未熟でナーバスではあるものの、確実に僕より100倍以上ピュアではある彼から、「あんまりfriendshipを深めることはできなかったけれど、君は、僕が出会ってきた人の中で、一番大事な意味を持った人の一人だ。」なんて言われると、僕の方は、結局最後まで彼に(本当の意味で)心を開いてやれなかったことを、正直、申し訳なく思いました。もうちょっと、一人の人間として、本気で向き合ってあげれば良かったなぁと少し後悔しています。(本当は、「自分自身の課題として、反省しています」と言った方が正確なのかも知れませんが…。このあたりが既にジブン中心主義なんですよね、この人。)。

まだ飛行機のチケットはとっていないそうですが、来週半ばにはシラキュースを発つとのこと。社長就任は年明け早々だそうです。なんだかんだありながらも、5ヶ月間、一緒に暮らしてきた22歳の青年の大きなチャレンジへの門出は、心から気持よく、送りだしてあげたいと思います。
Maxwell School, Syracuse, Dec. 8, 23:33

1 comment:

Anonymous said...

なんかドラマチックな話ですね。
まともに顔合わせないルームメイト同士も多いみたいだから、たまに衝突するぐらいは向き合っていたということでいいのでは?後で振り返ったらいい思い出になると思います、きっと。
私は最近前よりは仲良くなってきました。角を立てずに注意する言い方を少し身につけたからかもしれません。地道な関係改善に努めます。