生物多様性はなぜ必要か?——我々、環境問題に携わる者にとって、この問いは、非常に基本的でありながら、なかなかストレートに答えられない問いでもある。
これについて、江崎保男は、その著書『自然を捉えなおす —競争とつながりの生態学—』の中で、次のように述べている。
これについて、江崎保男は、その著書『自然を捉えなおす —競争とつながりの生態学—』の中で、次のように述べている。
とある研究会の席上のことでした。私たち鳥類を研究材料とする生態学者の大先輩である橘川次郎氏がこうおっしゃったのです。「受け入れるしかないのですよ。」このとき、はっとしました。そして「生物多様性は掟なのだ!」と思ったのです。(中略)生物多様性もあたりまえのように目の前にある進化の産物なのであり、人がこれまで生きつづけてこられた基盤であって、決して犯してはならない「掟」なのです。なるほど…。無理筋の理屈をこねくり回すより、ある意味、「掟ですけど何か?」と言われた方が、説得力あるかもしれない。