Tuesday, March 19, 2013

里山学のすすめ

龍谷大学の宮浦富保先生にもらってきた『里山学のすすめ』(2007 丸山徳次・宮浦富保 編)なる書籍の序説で、丸山先生が「里山」という語について論じておられる。少しメモしておこうと思う。

「この語はすでに江戸時代に用いられてい」たが、1960年代、「高度経済成長を通して、農用林が、農業との関係を失い、薪炭から石油やガスへとエネルギーが大きく転換されることによって放置され、都市化の波に押されて宅地造成やゴルフ場建設によって破壊されてゆく」中で、森林生態学者 四手井綱英によって再発見された(四手井氏本人は自身の造語であると主張)。

しかし、「里山の研究となると、ようやく1980年代になって本格化」。守山弘、田端英雄、両名の功績が大。田端は、「貴重種をもち出しての運動では限界があり、貴重種が生息する自然の全体を保護する論理がどうしても必要になった。それが里山研究の始まりでもあった」と回顧している。1987年には、行政用語としても、初めて「里山」が登場(第4次全国総合開発計画)。1994年に策定された環境基本計画においては、「山地自然地域、平地自然地域、沿岸海域と並んで「里地自然地域」という用語が用いられ」た。

丸山先生曰く、里山とは「人の生活の場としての里と、生活にとってなくてはならないヤマとが組み合わさった地域生態系であり、人の暮らしがそこにおいて成り立っていたひとつの生活空間」。また、「里山とは「文化としての自然」であって、たんに自然科学のみの研究によって明らかになるものではない」とも。

No comments: